変な夢を見ていた。
小さな子供が泣いている。
泣いてたからどうにかして、泣きやめばいいって思ってたんだ。
泣きやませないといけないって、思ったんだ。
泣いてばかりいることは、とても哀しいから。
「あれ? 俺、どーしてたんだっけ?」
こんな所で寝てたっけなあ?
辺りを見回せば、レーム帝国の城下町の近くの森だった。猛獣がいないとしても、昼寝をするほど安全な場所でもない。ここに来た経緯を思いだそうとしてみたけど、どうにも思いだせなかった。
――っと。こんなことしている場合じゃなかった。
魔力操作をヤンバラから習っている最中だ。一刻でも早く魔力操作を完全に自分のものにして、俺は行かないといけない。
守れなかった国を取り戻す為に。それと――。
――誰だっけ?
泣いている奴らがいたような気がする。そいつらを俺は助けないといけないって思うんだけれど、それが誰だったのかが思いだせない。
「うーん」
しばらく頭をひねって思いだそうとしていたけど、どうにも俺は思いだせなかった。諦めて顔を上げる。
国を取り戻すことも、その誰かを助けることも、この道を歩いて行けばどうにかなりそうな気がした。
きっと、色々とやっている内に忘れたことも思いだせるだろう。
思いなおして、俺は歩き出した。
少しでも前に、少しでも早く、進む為に。